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Senryu contest result

特撰
アリクイに似ているそれがすべてです
丸山 進
なかはられいこ
これは質問に対する答である。 ベタな例をあげれば「なぜ彼が好きなのか?」あるいは「嫌いなのか?」 川柳書きの常としてつい前句を想像したくなる。その習性をビミョーに突いてくる作品にはわたしはけっこう警戒心が強い。 その警戒心を「アリクイ」というチョイスがいとも簡単に解いてくれたのである。 けっこうくやしい(笑) アリクイならしかたないよねー。と、つい思ってしまうではないか。 この説得力がすべてです。
準特撰
冬晴れやフレンチトーストにナイフ
左岸
なかはられいこ
「冬晴れや」の「や」に抗いつつも、「フレンチトーストにナイフ」で立ち上がる景の魅力にやられた。 しっとりした厚めのパンにすっと入るナイフの感触と冬の青空の取合せは、とても詩的。「に」とあるからナイフは置かれているだけではなく、いままさにパンに入ろうとしているのだろう。妄想癖のあるわたしは、パンに入ったナイフがそのまますっと空に入ってゆくさまを想像したのである。 そう、あの9.11の映像のように。
準特撰
ふたりしていつも小鳥と読むニトリ
なかはられいこ
パッと見、よくもまあこんなしょーもないことをと思うのだが、「ふたり」の関係性が垣間見えて、ほっこりする。 「ふたり」と「ことり」と「にとり」という音がたがいに響きあい、音読するとしぜんに口元がほころぶ。 ハートウォーミングな作品ではあるが、読者に媚びるような、作りものっぽい安っぽさがないところがとてもいいなあと思った。 事実なんでしょうね、これ(笑)
入選
仏壇の奥には父の海がある
平 宗星
入選
満月や喪服のまんま話しかけ
石原てるみ
入選
柿色に染まりあなたに逢いにゆく
酒井啓三
入選
目が慣れてくる 暗い廊下に風がある
野原 萌
入選
霜柱踏んで良寛さんに遇う
入選
じゃが芋にまぎれ込んでるジャン・ギャバン
ええ一
入選
滝を呼ぶ一坪ほどの浴室に
郁子
入選
ずっと黒これからも黒犬も黒
左岸
入選
タン、カルビついでにユメも網の上
寺岡祐輔
入選
気に入らぬボタン通さぬボタン穴
公子
入選
陽だまりに宛先書いて贈ります
入選
分からないものもあふれる水溜り
田村ひろ子

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