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Senryu contest result

特撰
受け継いだいつもがあって木のしゃもじ
坪井篤子
喜代
某ハウスメーカーの「通り庭」のCMが頭に浮かんだ。朝、竈(おくど)さんの前に立つ母と、お膳を運ぶ三姉妹の姿が微笑ましく、風に舞った暖簾が“いつも”の大切さを伝えている。この木のしゃもじもまた、毎日毎日、お椀に味噌汁を注ぎ、煮っころがしを掻き混ぜてきた女達の誇り。「薪にもできないし、もう捨てたらどう」と揶揄する娘の声と、「その内にね」とさらりとかわす母の声が今にも聞こえてきそうだ。
準特撰
ありがたい いつもあなたがそばにいる
幸生
喜代
“ありがとう”ではなく“ありがたい”に降参です。手を合わせながら傍でこんなことを呟かれたら最後、妻の目からは涙がポロポロ、夫なら恥ずかしさの余り逃げ出すかも知れませんね。横一列に並ぶ平仮名一文字一文字は、欲望から解放された人の崇高な祈り。この平穏な“いつも”を得るためにご夫婦が費やした時間を思うと頭が下がります。
準特撰
いつもとは違う付けまつ毛の角度
ええ一
喜代
近頃はコンビニでも簡単に買える付けまつ毛。「盛りまつ毛が命でーす」なんて言ってのける女の子を横目に、一度試してみようかしらんと箱に手を伸ばすものの、その長さに思わず怯んでしまう。さて、句の中の“いつもとは違う角度”だが、ここまで手慣れた技を使い熟なせるようになるには沢山の恋をし、失恋を経験した筈。指先を糊でべとべとにし付ける練習を重ねた、彼女の努力と強かさにエールを送りたい。
入選
生きたいと願ういつもいつもいつも
酒井啓三
入選
iPhoneに砂紋のごとき夢 いつも
飯島章友
入選
家族絵にいつも遅れるいなり寿司
内田万貴
入選
白いシャツいつも着ていた転校生
日和
入選
晩秋やいつもの坂がきつくなる
森下綾子
入選
案じてます いつもそれしか書けぬ文
玉江
入選
母上様あなたはいつも母でした
寺岡祐輔
入選
想い出にしようとするといつも雨
苑子
入選
待ち人はいつも死角に立っている
若山かん菜
入選
軍艦巻きにちょこんと乗っている「まいどっ」
ええ一
入選
いつもってある日突然居なくなる
街中 悠
入選
いつも水浸しな少年の岸辺
飯島章友

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